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巻 頭 言


おめでとう、美南子さん

 10月17日、賤ケ岳に登ってわが家に戻ると、テーブルの上にハガキが置かれていた。「ナマステ」という文字が目にとび込む。それは遠足倶楽部会員でもある中島美南子さんからの「マナスル登頂成功」報告のハガキであった。

 「96年の年末から97年の年始にかけて岩崎さんとムクチナートトレッキングにご一緒して以来、すっかりネパールにはまってしまい、9回目のネパールにて山本篤さんのマナスル公募隊に参加し、9月30日に8163mの頂上に立つことができました」「凄い、美南子さんマナスルに登っちゃったんだ、おめでとう」と、ぼくはハガキに声をかけていた。

 いまでも時々メニューに載せている「ユガテから日和田山」。美南子さんの山の遠足デビューも「バテない歩き方教えます」をテーマにしたこのコースであった。

 西武池袋線東吾野駅前で集合、準備体操を済まして出発。山道にはいってひと登りすると、飛び出した所がユガテである。地名の由来はつまびらかではない。陽当たりのいい小台地に農家が二軒、生活する人たちは大変だろうが、われら都会人にはシャングリラである。ぼくのお気に入りの場所だ。ハイカーのためにトイレが設営されているのも好ましい。

 ここから北向地藏を経て一等三角点の物見山に立ち、日和田山へと辿るのが、「バテない歩き方教えます」の教室という次第。「マナスル頂上に立てたのも、バテない歩き方教えます≠ナ基本を教えて頂いたお陰と感謝しております」と、ハガキに書かれているのも、すっごくうれしい。

 このハガキを手にした一週間後の10月25日、ぼく自身が有志8人とネパールにむかい、アンナプルナ内院へのトレッキングを楽しんできた。25日はバンコクに泊まり、カトマンズ到着は26日になる。27日、思惑通りの雲ひとつない快晴。カトマンズ市内からもランタンヒマールやガネッシュヒマールの白い峰頭を望むことができた。ポカラへの飛行機はオンタイムでテイクオフ。小さな機体はヒマラヤンブルーの空中に軽やかに舞い上がる。

 右側の窓の外は右から左へとヒマラヤの白い峰々が鮮やかに連なる。何回眺めてもどの山がなんなのか分からなくなっちゃう。左隣に座っているサーダーのラクパ・テンジン・シェルパ(三浦雄一郎さんのエベレスト隊のサーダーでもあった)に、「マナスルはどれでしたっけ」と尋ねるとあれ、と指さしてくれた。凄い、あの山に美南子さんは登っちゃったんだ。

 アンナプルナ山群を眺めながら、ポカラの飛行場にランディング。タラップを降りて地上に立つと、目の前にマチャプチャレが大きくカッコよく聳え立つ。「わあっ」皆さんから歓声が上がる。もうすっかりネパールにはまり込んでいるようだ。

 ネパールって本当に不思議な国ですよね美南子さん、心からおめでとう。

                        (平成18年11月20日 山の遠足連絡帳 第167号 掲載)