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巻 頭 言


日本百名山をめざす

 深田久弥さんは、山の品格、歴史、個性という三つの基準に、およそ1,500m以上という高さを条件として加えて、「日本百名山」を選ばれた。

 1980年代後半から、中高年登山者の姿が目立ち始め、90年代に入るとブームと喧伝されるまでになった。中高年登山ブームは、日本百名山登山ブームを招来した。日本の名山ベスト百なのだから、必然といってもいいだろう。

 1956年、地球上に14座しかない8,000m峰の一座、マナスル(8,156m)が、日本隊によって初登頂され、わが国は空前の登山ブームとなった。30年後、中高年登山がブレイク。という状況をふまえて、前者を戦後の第一次登山ブーム、後者を第二次登山ブームと呼んだりする。

 第一次では、登山といえば岩登り、沢登り、雪山登山のことであった。経験を積み養った実力で、ヒマラヤの未踏峰やアルプスの北壁をめざした。第二次では攀じるのではなく、歩いて登る山が登山の意味するところとなった。その象徴が日本百名山の百の頂を足下にすることである。

 ブーム到来と共に百名山をめざした人はほとんどが目的を達し、ご高齢にもなられた。バブル崩壊という経済的な理由もあって、百名山登山ブームは沈静化したように思われていた。

 それがここのところ、「日本百名山」を耳にすることが多くなってきた。景気回復を実感できないでいるが、デパートや大手スーパーの業績回復が報じられたりする昨今、ハートに少しゆとりができてきたようにも思える。なによりも大きいのは世代交替であろう。

 第二次登山ブームの一期生たちは卒業、二期生の入学がようやく始まったというのが筆者の分析だ。

 当然のことだが、日本百名山にはいい山が揃っている。問題のある山がないわけではないが、例外を除けば、ハズレがなく充実した登山が楽しめる。登山については様々なことが学べることがうれしい。まず、プランニングを挙げられる。その山の登り方と同じに味わい方も学べる。「百の頂に 百の喜びあり」という言葉に憧れて、百の頂に立つことをめざす人が、再び増えているという。目標を設定する、夢を抱くということは素敵なことだ。

 山に限ったことではないが、ナニかと出会えることは最高の人生ではないだろうか。一瞬にすぎないという人生だって、手をこまねいていたら、退屈極まりない長い時間になってしまうだろう。そんな人の多い中、我々は山と出会った。「百名山」に限らないが、せっかく出会った山を、もっと効率的に利用する方法を考えた方がトクだ。

 目標があると、街での生活にもハリが出てくる。百名山をめざしてみませんか。百名山に学び、目標達成の後は、その経験を活かして、自身の百名山を追いかけてみたらいい。生涯の趣味として「山」は最高!


                        (平成19年4月20日 山の遠足連絡帳 第172号 掲載)