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巻 頭 言


笑っていいとも 番外編

 グランドサークルを歩いてきた。ラスベガスで迎えてくれて、グランドキャニオン、アーチーズ、アンテロープキャニオン、モニュメントバレー、キャピトルリーフ、ブライスキャニオン、ザイオンとぐるりと10日間ガイドしてくれたネイトさんと出会ってしまったことにより、笑っていいとも番外編を書かざるをえなくなってしまった。

 ネイトさんは大変な日本通である。モルモン教徒で非常にマジメ。今日は9月10日、出会って7日目、朝のあいさつが、「皆さんおはようございます。今朝、長崎の友人からケイタイに電話が入りました。どこにいるのかと聞かれたので、ブライスキャニオンと返事したらうらやましがられました。そっちの天気はどうっと聞いたら、今日も雨だって」バスの中は大笑い。

 彼が日本を訪れて間もない頃、日本語をマジメに勉強していた時代、ラーメン屋さんに入って注文した。ウェートレスが運んできて「ラーメンになります」といって彼の前に置いた。彼は不思議に思って、「ラーメンの前はなんだったんですか」と尋ねると、彼女はしばらく間を置いてから「メンです」と答えた。

食事を終えて、レジで会計を済ませるべく千円札を出したら、「千円からお預かりします」というので、「千円からじゃないでしょ、私からでしょ」といったら、にらまれたという。日本語の乱れを指摘されているようで、我々は笑ってごまかすしかなかった。

 グランドキャニオンでは、彼の友人のクリスさんがガイドをしてくれた。クリスが初めて日本を訪れた頃、日本語の勉強がしたくて、片っ端から声をかけていたという。電車に乗ったとき、目の前の女性に横の席が空いていたので、座ってもいいですかというつもりで、「さわってもいいですか」といってしまった。しまったと思ったが後の祭り、女性は黙って立つと逃げていってしまったとか。

 別の時、クリスは「……そう」といういいまわしの勉強をしていた。重そうとか、やさしそうとかの「そう」である。向こうからかわいい赤ん坊をベビーキャリアに乗せて、若いママさんがやってきた。彼はかわいいというつもりだったのに、「かわいそう」と声をかけてしまい、彼女にきつくにらみつけられたそうだ。

 クリスが日本で世話になった健太郎君がラスベガスに遊びに来た。ちょっとしたパーティーに健太郎を連れていった。美人がいた。健太郎は英語ができない。友だちになりたいんだけど、なんて話したらいいのだと聞くので、最初に「ハウアーユー」とあいさつすればいいと教えたら、健太郎は間違って「ハウマッチ」といってしまった。バシッ、健太郎は平手打ちをくらった。

 ネイトに話を戻す。つい最近日本に行ったばかりだという。吉本興業のオーディションを受けてきたのだそうだ。合格、呼び出しのメールが入るのを待つ日々だとか。


                        (平成19年9月20日 山の遠足連絡帳 第177号 掲載)