4月9日、登頂日の朝、予想外の青空でした。食事もお風呂もお布団も大変結構な土合山の家で体力を蓄えた白毛門アタック隊の9名が元気に玄関前に集合しました。余分な荷物は宿にデポです。気温10℃、天気も上々です。メンバーのほとんどが、前日に天神平周辺で岩崎主宰から雪上技術のチェックを受けているので表情にも余裕があります。準備体操のあと6時35分に出発。
5分ほど歩くと土合橋手前の白毛門登山道の分岐。これを右折して、すぐ先で湯檜曽川左岸に流れ込む東黒沢を渡ります。例年なら雪に覆われていて慎重に渡る橋ですが、今年はまったく雪がありません。しばらく東黒沢沿いに行くと白毛門登山口の標識があり、左に登山道が続いています。いよいよ急登の始まりです。
今年は極端に雪が少なく、下部は夏道が露出し、木の根と大きな段差で楽しいとはいえない登山道でしたが、標高1000mあたりから漸く雪道になりました。しかし、同時にガスになり、ジジ岩、ババ岩が視界から消ええしまいました。小雪も舞い始めましたが風がないので穏やかです。
標高1200m辺りでアイゼンを装着。表面のベタ雪はアイゼンが利きにくく、一歩ごとに2、3回踏み付けてステップを作るのでトップは疲れます。
松ノ木沢の頭(標高1484m)に10時に到着し、10分間の休憩です。コース一番の展望地ですが、残念ながらお目当ての谷川岳の岩壁はぼんやり、頂上もガスの中でした。
これから先がヤセ雪稜、岩場、急斜面が続く白毛門の核心です。岩場を巻く箇所や斜面のトラバースでは念のためにロープを固定しました。
頂上直下の高度差100m、斜度40度、上部では45度近い急斜面(因みに、きのう雪訓をした天神平の斜面は約25度、上部でも38度程度です)は、降雪量や気温次第で雪崩の危険が大きい場所です。
壁のような斜面の直登は体力が要りますが、頼りになるFさんが上部の最も急な登りを先頭でステップを付けてくれて大助かりです。テニスで鍛えた脚力は並ではありません。後続も全員しっかりした足取りです。この難所を越えると傾斜が緩んで、すぐに頂上でした。11時25分着。雪が少ないので方向表示盤が露出していました。一同、がっちり握手です。ガスで展望はありませんが登頂の満足感の中、皆で記念写真を撮り合いました。
11時40分下山開始。下りは宮下班5人、大津班4人の2班に分かれてロープを結び合いました。登りより高度感が増すためこの方が精神的にも安全です。モンブランやブライトホルンを目指す方にはロープを結んだ行動に慣れて頂けたと思います。
いっとき、雪が強まり、思いがけない雪山の雰囲気に歓声です。一方、雪が緩んできて、ズボン!、ドボン!。腿の付け根まで踏み抜いて、あちこちで悲鳴が上がります。どうしても脚が抜けず、スコップで掘り出す一幕もあって楽しい下山になりました。
標高1000mあたりまで下るとガスが消え、左に白毛門沢が美しい滝を作り、右に湯檜曽川に落ち込むマチガ沢や一の倉沢の下部が展望できました。しかし、上は相変わらずガスの中です。
14時35分、遠路、広島からの参加にも関らず疲れを見せないOさんをトップに、土合山の家に帰着。メンバーの足並みが揃い、予定していた15時30分よりも早い下山でした。皆さんの平素のご努力の賜物です。荷物をピックアップし、丁度やってきたバスで水上駅へ。特急待ちの間、馴染みのおそば屋さん「くぼた」で賑やかに白毛門登頂を祝いました。次の槍ヶ岳も楽しみですね。
(追 記)
魅力的な雪山ですが一方で雪崩というリスクがあります。ただ怖いと言うだけでなく、どんな場所が、どんな場合に危険なのかを知っておくことが大切です。
まず「30度以上は雪崩危険斜度」ということを頭に入れてください。その上で降積量や降雨量、気温の上昇などに注意します。詳しい説明は省きますが、この時期の白毛門なら、降量雪は20cm以上、降雨量は15_以上(雪に換算すると15cm)、気温で8℃程度以上が危険信号の目安です。
さて、今回の登頂日の天気ですが、ネット情報では、午前中は曇り、降水確率30%、午後は晴れ、降水確率10%という予報でした。もし、雨や雪が降っても、大した量ではないということで、事実、夜半の雨も少量でした。白毛門山頂の気温は、同情報で最高6〜7℃、最低−2〜−1℃と計算しました。積雪の状態については、きのう、田尻尾根の標高1400m地点でシャベルテストをして、雪面下、約15センチに2〜3pの氷板に近いざらめ雪層があること、その下層は40cmほどの厚いざらめ雪層で安定していること、従って、大雨や大幅な気温の上昇がなければ雪崩の心配はないこと確認しました。また、高層予想図で、今週は上空5000mに顕著な気圧の谷がなく、強い寒気の流入もないので天気が大きく崩れる心配がないことも確認してあります。
これらの情報をもとに、去年は降雪(20cm)と視界不良のために撤退した頂上直下の急斜面も今年は大丈夫だと、自分なりに確信を持って臨みました。結果的に雨はなく、雪は降りましたが積るほどではなく、気温も5〜6℃を越えませんでした。メンバーの皆さんの体力、技術が万全だったことが登頂できた一番の理由ですが、「晴れ女」というHさんがいて、天気に恵まれたことも幸運でした。
雪崩への関心を高めていただければという思いで少し細かく書きました。ポイントを抑えて、より安全な雪山を続けていきたいと願っています。
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